一般社団法人日本文化デザインフォーラム 理事長 水野誠一 ご挨拶

21世紀に入り早くも四半世紀に近づき、政治・経済・社会・文化など各分野をつなぐマクロな「環境問題」において、ますます20世紀の常識が通用しない時代になってきました。

そこで、私たち日本文化デザインフォーラムは2016年来、「carpe diem=今を摘め」というテーマの下、トークイベントを開催してきましたが、それを更に進化させていく必要性が一段と高まっているのではないでしょうか。

「carpe diem=今を摘め」、これは、紀元前1世紀の古代ローマの詩人ホラティウスの詩に顕れる語句ですが、「今の花を摘め」という意味、すなわち「今の瞬間を楽しめ」ということなのですが、この言葉には「memento mori=死を忘れるな」という言葉が対語として付いてくることを忘れてはなりません。まして「未来」もが曖昧で朦朧たる「現在」だからこそ、この対語「memento mori=死を忘れるな」がより重要な意味を持ってきています。

それは、地球に棲む人類が迫り来る環境問題に挙って取り組まなければならないにも関わらず、2021年以降、ミャンマーの軍事クーデター、ロシアの終わりなきウクライナ侵攻、イスラエルとハマスの戦いなど、前近代的な争いが後を絶たないからです。これらは、歴史的文化対立に起因しているのですが、これらの前近代的な蛮行が登場しても、文明的調整機能であるはずの「国連」ですら手を出せない。ここでも「現代文明」の無力さを思い知らされるのです。

そもそも、35億年前から地球上に存在していたといわれるウイルスの一形態である「新型コロナウイルス」という存在に、万能と思われた現代の科学文明ですら太刀打ちできませんでした。今こそ、文化人類学などが読み解く「文化力」や、人類が長年培ってきた「知恵」の重要性を、私たちはさまざまな企画を通じて再定義していかねばならないと思います。

私たちが目指す「デザイン」とは「広義のデザイン」を意味するものであり、「文化力」の具体的な展開ツールとしての「社会デザイン」提案が、社会の多様な問題解決に供することができると信じ、私たち会員も、今まで以上に活動の「現代化」と「活性化」を図っていきたいと念じています。

今後とも、格段のご支援をお願いいたします。

理事長

一般社団法人 日本文化デザインフォーラム
理事長 水野誠一

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