昨年の挨拶にて、21世紀に入り、早くも四半世紀が経過し、経済・社会・文化など各分野をつなぐマクロな「環境問題」において、ますます21世紀の常識が通用しない時代になってきたと申し上げました。一方で、世界の政治面では、人種間、文化間、東西間の紛争の激化という、むしろ退化現象すらみられるという矛盾が常態化しているとも申し上げました。
私たち日本文化デザインフォーラムは2016年来、「carpe diem=今を摘め」というテーマでトークイベントを開催し、更にはスポンサー各社のメンバー参加の下、「クリエイターズ・インスティテュート」なる勉強会や、若者の活動を支援する「JIDF学生文化デザイン賞」も進めてきましたが、更に「進化」と同時に「深化」させていく必要性が一段と高まっていると思います。
「carpe diem=今を摘め」、これは、紀元前1世紀の古代ローマの詩人ホラティウスの詩に顕れる語句です。「今の花を摘め」という意味は、「今の瞬間を楽しめ」ということなのですが、この言葉には「memento mori=死を忘れるな」という言葉が対語として付いてくることを忘れてはなりません。まして「未来」もが曖昧で朦朧たる「現在」だからこそ、この対語「memento mori=死を忘れるな」がより重要な意味を持ってきています。
それは、地球に棲む人類が迫り来る異常気象などの環境問題や食糧危機に挙って取り組まなければならないにも関わらず、終わりなきロシアとNATO各国との戦い、イスラエルとハマスの戦いなど、前近代的な争いが一向に終息しないからです。これらは、歴史的文化対立に起因しているのですが、これらの前近代的な蛮行が登場しても、文明的調整機能であるはずの「国連」ですら手を出せない。ここでも「現代文明」の無力さを思い知らされたのです。
西洋占星術によると、過去200年間続いた「地の時代」が2024年に終わり、これからの200年間は「風の時代」になるという話でした。つまり「経済的豊かさ」を追求する時代から、「精神的な豊かさ」を追求する時代への変化です。今こそ、文化人類学的に読み解く「文化力」や、人類が長年培ってきた「知恵」の重要性を、私たちはさまざまな側面から再定義していかねばならないというのに、実際のところ事態は悪化の一途でした。平和憲法を守ってきた日本までが、国外の戦いに巻き込まれようとしています。
しかしながら、私たちが目指す「デザイン」とは「広義のデザイン」を意味するものであり、「文化力」の具体的な展開ツールとしての「社会デザイン」の提案が、世界の多様な問題解決に供することができると信じようではありませんか。
私たち会員一人一人は、文化人として「微力」ではありますが、決して「無力」ではありません。今まで以上に活動の「革新化」と「活性化」を図っていきたいと念じています。
今後とも、格段のご支援とご参加をお願いいたします。
一般社団法人 日本文化デザインフォーラム
理事長 水野誠一
一般社団法人 日本文化デザインフォーラム : 東京都港区赤坂6-15-12富岳ビル3F