JIDF Labo

ラボNEWS一覧へ
ラボ NEWS
2019年01月28日
佃一可さんより、第20回JIDF 「大無限文化研究ラボ」開催のお知らせです。

次によって大無限ラボ(本年度第2回・通算20回)を行います。


■日 時:2019年1月28日(月曜日)19:00~

■場 所:うめだ総合生涯学習センター第3研修室

     大阪市北区梅田1-2-2-500 大阪駅前第2ビル5・6階

     https://osakademanabu.com/umeda/access

■参加費:500円

■テーマ:小説「エル・グレコの首飾り 青柳図書館の秘宝」の歴史背景とモデルになった事件について


問合せ・申込先

一般社団法人 知識資源機構

       代表 佃 一可 ℡090-8504-3185

chishiki000@gmail.com


今回は昨年10月に刊行した拙著推理小説「エル・グレコの首飾り 青柳図書館の秘宝」で著した諸々の事件のモデルとその背景を、

同じJIDFのメンバーである芳賀直子さんと掛け合いながら物語の深みを探っていこうという企画です。

自分自身でも気が付かない新しい発見があると思います。


物語は、友人Yと二人でスペイン旅行をした図書館司書の主人公(摩耶)が、スペインの全盛期の帝王フェリペ2世の宮殿・図書館を訪ねます。

そこで400年前当地を訪れた、慶長遣欧使節支倉常長の子孫と名乗る老爺が、摩耶が日本から自分たちを迎えに来たと誤解し、

エル・グレコの宝石を返してほしいとせがまれるところから始まります。

(支倉常長が帰朝する際に大勢の部下たちをスペインに残したことは知られていますが

ここではより劇的にエル・グレコを絡ませて物語を膨らませています。)


主人公の父親は、支倉と同じ仙台の出身でその先祖も支倉と関係があるところから、

摩耶に持ち込まれた話に興味を持ち、母の墓参りに仙台に行くと言って家を出ます。

そして数日後に東京目白の目白不動尊のそばで殺害されてしまいます。


葬儀の後、摩耶は、警察から、父は仙台を訪れそのあと九州に向かった、

と聞かされ、父親の足取りを確かめるため仙台に向かいます。そこで父が訪ねた父の幼馴染Aから、

エル・グレコの宝石がダイヤの原石ではないかと父が考え、またその宝石が日本最初の公開図書館だった

青柳文庫の所蔵物に混入したと考えていたことを聞かされます。

その手掛かりになるのが大崎八幡宮(羽生結弦君が守神としている)から刊行されている書物にあることを教えられます。

また、Aはもう一人の幼馴染のBがその宝石の行方を知っている可能性があることを示唆します。

(この段落では江戸期の伊達藩と支藩である田村藩の複雑な関係や

明治維新時の明治政府の不当な伊達藩に対する仕打ちなどを背景に描いています。

また、伊達・田村の構図と仙台・旧泉市の構図をシンクロさせて記述は進みます)


摩耶は、父が出がけの言葉通り、母の墓参りをしたかもしれないと霊園を尋ねると、

偶然、父の幼馴染Bの手がかりを見つけます。しかし、摩耶がBに到達したときBは何者かに殺害されていました。

そして有名なダイヤモンドカッター名人CがBを訪ねる、と家を出たきり行方不明になっていることがわかり、

事件は背後にとてつもない闇が潜んでいることを摩耶は思い知らされます。

(この後、事件は関東大震災の裏話、敗戦後の満鉄調査部の行方を絡ませて進みます。)

摩耶は父がなぜ仙台から九州に飛んだのかがわかりません。

また、黒い丸い石がダイヤの原石であることが、現代ならいざ知らず、

原石を見たことがない100年前の日本人にどうして分かったのかが疑問です。

思い悩むとき、図書館長から、仙台と九州を結ぶものとして、

戦前日本最大の専門図書館でもありシンクタンクであった満鉄調査部の存在を聞かされます。

そしてその調査部が旧田村藩に深い繋がりがあることを知らされます。


父の幼馴染Bの父親は満鉄調査部で働き、ソ連に抑留され、

朝鮮戦争の情報部隊に所属させられたことから帰国後も職が得られず、

Bの家は保管している原石を売らざるを得ない境遇に追い込まれていました。

そして、この原石が中東の石油採掘権に関連して利用され、また中東革命に絡みながら、

その秘密を守るものと、暴くものの争いに摩耶の父は巻き込まれたことを知るようになります。


物語は目白、仙台、福岡、宗像、名古屋と目まぐるしく展開していきますが、

最後に父の幼馴染Bが父に宛てた手紙が発見され、

そこには善意で黒幕とは知らずO氏に原石の行方を調べている父の便宜を図ってほしい旨を伝えたことが記されていました。

また、行方不明になっていた名人Cが現れ、父の不可解な足取りの全容を、ようやく摩耶は理解します。

そしてすべての黒幕だったO氏は中東革命を機に国家の秘密を道連れにして、鬼籍に身を投じます。