一般社団法人日本文化デザインフォーラム 理事長 水野誠一 ご挨拶

21世紀に入り早くも22年が過ぎ、政治・経済・社会・文化など各分野をつなぐマクロな「環境問題」において、ますます20世紀の常識が通用しない時代になってきました。そこで2016年来、「carpe diem=今を摘め」というテーマの下、トークイベントを開催してきましたが、その重要性が一段と問われてきているのではないでしょうか。

「carpe diem=今を摘め」、これは、紀元前1世紀の古代ローマの詩人ホラティウスの詩に顕れる語句ですが、「今の花を摘め」という意味、すなわち「今の瞬間を楽しめ」ということなのです。過去も含めて、さらに未来もが、曖昧で朦朧たる現代だからこそ、「memento mori=死を忘れるな」という言葉と表裏一体の意味でも、「今=現代」という視座を大切にする必要があると思うからです。

しかしながら2020年以降は、新型コロナ・パンデミックの拡大により、東京オリンピックとパラリンピックは延期された後、無観客開催となり、私たちのトークイベント「carpe diem=今を摘め」も観客を絞ったリモート開催を余儀なくされました。

35億年前に地球上に登場した、目に見えないほど微細なウイルスという存在に、万能と思われた現代文明ですら太刀打ちできないことに気付くとともに、経済や人々の暮らしに大きなストレスを与えられることになりました。

一方、ロシアの終わりなきウクライナ侵攻など、世界各国で止むことを知らない前近代的な蛮行が登場しても、文明的調整手段であるはずの「国連」ですら手を出せない。ここでも「現代文明」の無力さを思い知らされたのです。

このように困難な時代だからこそ、ますます「文化力」や、人類が長年培ってきた「知恵」の重要性を、トークイベントやラボ活動などを通じて再認識しなければいけないと思います。私たちが目指す「デザイン」とは「広義のデザイン」を意味するものであり、「文化力」の具体的な展開ツールとして、社会の多様な問題解決に供することができるものと信じ、私たち会員も、今まで以上に活動の活性化を図っていきたいと念じています。

今後とも、格段のご支援をよろしくお願いいたします。

理事長

一般社団法人 日本文化デザインフォーラム
理事長 水野誠一

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