ラボマスター:黒川雅之
ラボディレクター:蜂谷宗苾、松島正之、園山真希絵、大樋長左衞門年雄
皆さま、
モノラボ第21回「建築家、岸和郎の世界」を聴く会があります。どうぞおいでください。
講師:岸 和郎さん
■日時:2018年7月14日(土) 19:00〜
■場所:株式会社 K&K/黒川雅之建築設計事務所
※詳細は文末をご覧ください。
建築家の話をもっと聴きたい・・・そう思った時、僕の頭を掠めたのは岸和郎君だった。
彼は下にあるような文章を寄せてくれた。建築は社会的な存在だと言われるのだが、
それは建築に限ったことではない。現代芸術だって、
現代詩だって常に社会的な存在なのだから大切なのは建築家の心の中である。
人の心の中には様々な思いが積層している。
彼の文章にある伝統もそうなのだが自分の個人的な記憶だって逃れられないで引きずっている。
それなのに自分の中の生命は否応なしに自分を先へ先へと駆り立てる。
建築を詩だと僕が思うのはそのような建築には論理では説明し難い意識の積層があるからだ。
僕には僕の想いがあるように岸和郎の中の記憶と願望がこの講演で見えてくるに違いない。
楽しみである。
ラボマスター 黒川雅之
以下、岸和郎さんから頂いたコメントです。
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テーマ:「Cultural Layers」
1981 年から京都をベースに仕事をしてきた。1990 年代の中頃までは、その京都からどうやって逃れるか、
どうやって距離を取ればいいのか、だけを考えてきた。現代の建築をつくりたかったからだ。
ところが 1990 年代の初めにスペインやイタリアの編集者から、私の建築が日本的だ、
と言われるようになる。一番避けたいと思っていた評価だった。
1995 年に「紫野和久傳」という建築を依頼された。それも大徳寺の東に接する敷地に日本料理のレストラン。
私が逃げていた「京都」そのものと言ってもいいプロジェクトの設計の依頼だった。
もう逃げるところはないということか。そう考えて設計を受けることにした。
現在の問題だけではなく、その場所の歴史的な分脈を考えなければ現代の建築でさえ設計できないと気付かされたのは、この時だった。
それ以降、History/Contemporariness(歴史的で在ることと同時に現在でもあること)とか、
あるいは Cultural Layers(文化の重層性)という切り口から自分の仕事を考えるようになった。
東京に居れば、こんな風には考えなかったと思う。自由と現在を許容してくれる都市だからだ。
でも京都に居を構えると、事務所から歩いて 5 分で大徳寺孤逢庵があり、
自宅の近所には詩仙堂が在る。自分が設計して今日竣工した現代建築よりもずっとすごい建築が身近に在ること、
しかもそんな建築が一つだけではなく数多く存在して居る環境、そんな場所で現代の建築家に一体何が出来るのか。
いつも思うのはそんな事だし、そんな思考の結果として自分の現在の仕事は在る、と考えているのだ。
JIDF モノラボ 第21回(2018年度第1回) + K塾 Vol.69
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■日 時: 2018年7月14日(土)
18:30~ 開場
19:00~ 講演
20:30~ 懇談会 (持ち寄り歓迎です)
■場 所:株式会社 K&K(黒川雅之建築設計事務所)
東京都港区西麻布3-13-15 ケイプラザB2
https://goo.gl/maps/DqcrTgCAJp42
■講 師: 岸 和郎さん
■テーマ:「Cultural Layers」
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※申込み&問い合わせ
K studio(株式会社K&K)室岡
e-mail:k-info@k-system.net
phone:03-3746-3601
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