活動内容

日本文化デザイン賞

第15回 福岡 「アジアがふく・おか - 時感 空感 人感」(1994年)

 第15回 福岡 「アジアがふく・おか - 時感 空感 人感」 (1994年)


[授賞委員長] 小池一子
[授賞委員]  浅葉克己
  粟津潔
  榎本了壱
  大江匡
  大森康宏
  坂下清
  杉浦日向子
  竹山聖

日本文化デザイン大賞

荒木経惟 氏(写真家)


[授賞理由]
猥褻か芸術かの論争をよそに、猥雑な芸術を旺盛に開示し続ける天才アラーキー。その自嘲的にも聞こえた自称は、今や確固たる現実となり称号ともなった。ことに1990年1月27日愛妻陽子さんの死から、「センチメンタルな旅・冬の旅」「色景」「天使祭」「エロトス」「私写真」と続く作品集、展覧会は、広く内外にセンセーションを巻き起こしている。見ることへの濃厚な欲望と、極めて私的な眼差し。こうした写真行為は、性(エロス)と、死(タナトス)の不可分な宇宙を絶妙に露出する。異例にして普遍、猥雑にして純粋な雲母のように重層する瞬間の皮膜、印画のいちいちに、荒木経惟の存在がある。

日本文化デザイン賞

勅使川原三郎 氏(舞踊家・振付家)

「BONES IN PAGES」/
DOMINIK MENTZOS 撮影

20世紀末を飾るアートといえばダンス。世界は、特にヨーロッパは、今やダンスに沸き立っている。こうした状況のなかで、氏はコリオグラファーとして、またダンサーとして、国際的に最も高い評価と称賛を受けている。世界各地のフェスティバルへの招聘や、フランクフルト・バレエ団での振付等、その成果と話題性には絶大なものがある。ことに、近作「DAH-DAH-SKO-DAH-DAH」 「NOIJECT」 「BONES IN PAGES」等、舞踊、美術、音楽、照明と、総合的な構成力、演出力が創造する作品には、鮮烈なオリジナリティーと、希有なポエジーを強く感じる。



アップリカ葛西(株)(取締役社長・葛西健蔵 氏)

「ケアビリシステム」

[授賞理由]
1947年創業以来、47年にわたって赤ちゃんのためになる育児器具を研究開発し、今や代表商品であるベビーカーはグローバルなレベルでNO.1企業という評価が定着している。その実現には、医学的人間工学的な研究をベースにしたアプローチがベビーカーにとどまらず、すべての商品に活かされ、ユーザーの高い評価が裏付けとなっている。
さらに1980年以来、将来の高齢化社会に備えた「お年寄り研究会」の発足等、広く弱者をサポートする機器の開発へとフィールドを拡大し、総合的なデザイン文化の基盤の構築に大きく貢献している。



群馬交響楽団


[授賞理由]
ここ数年地方自治体のなかで、文化施設いわゆる<ハコ>づくりが急速に行われている。しかし、いくつかのものはソフトの構築がおろそかになっていて、所期の目的を達し得ないまま、運営費がかえってその自治体の財政を圧迫しているものさえある状況である。その中で群馬交響楽団は、地方交響楽団の草分けとして50年近くの歴史を経て今日の地位を築いている。最近では、プラハやウィーンなどでも演奏活動をしており、まさに地方の自主的国際化を実践している顕著な例であるといえる。ここにその継続性と地方におけるソフト構築の先進性を讃えたい。

会員賞

中沢新一 氏(宗教学者・中央大学教授)


[授賞理由]
「森のバロック」、「チベット死者の書」等一連の仕事で、宗教学のみにとどまらず広く記号論、科学技術の領域にも踏み込み、人間の心性、霊性の成り立ちにアプローチを続けている。彼の活動により、哲学は大衆に近いものとなった。これからも、既成の学者の枠組みをはるかに超えた、日本の代表的思想家としての活躍を期待したい。