活動内容

日本文化デザイン賞

第20回 秋田 「三美主義 - さぁ世紀末」(1998年春)

 第20回 秋田 「三美主義 - さぁ世紀末」 (1998年春)


[授賞委員長] 鈴木博之
[授賞委員]  秋元康
  川崎徹
  今野由梨
  坂村健
  中村宗哲
  野村万之丞
  松岡正剛

日本文化デザイン大賞

高階秀爾 氏(美術評論家、国立西洋美術館館長)


[授賞理由]
戦後の日本が平和と文化の国づくりを目指したなかで、その内実を豊かに広く実現してゆく仕事は、高階秀爾氏の活動によって、大きくその実を結実させたと言えるのではないか。われわれが当たり前のようにいう文化も芸術も、氏によって切り開かれた部分が多い。多くの展覧会を通じて、また多様なマスメディアを通じて、そして無論旺盛な執筆活動を通じて、氏がわれわれと芸術との距離を縮め、視野を拡げてくれた功績は計り知れない。芸術は難解で、教養を必要とし、それなりの作法が要求されるのだという偏見を打破し、芸術の世界の楽しさを示してくれたのは、氏の力によるところが大きい。そのとき氏は、芸術を大衆化するのではなく、われわれを楽しみながら「向上」させてくれたのである。欧米と日本の距離を縮め、世界のなかの日本を示してくれたのも氏である。もっとも日本文化デザイン賞にふさわしい人物として、ここに氏を推挙する。

日本文化デザイン賞

大野一雄 氏(舞踏家)


[授賞理由]
舞踏の超人である。
過去への記憶の探求がいつの間にか未来としての記憶につながってゆく大野一雄氏の踊りは人間の芯に触れている。しかも素手で。



スタジオジブリ・カンパニー(アニメーション製作会社)


[授賞理由]
高畑勲・宮崎駿という二人の鬼才を頂点に数々の傑作アニメーションを世に問い、日本映画界につねに新しい可能性を提示しつづけてきたことは、大いに賞讃されるべきである。それとともに、アニメーションという気の遠くなるような制作過程を稠密なスタッフ構成と精緻な技術システムによって維持・革新しつづけたことにも敬意を払いたい。また、ジブリの作品がハイパーノスタルジーともいうべきコンセプトを高度なエンターテインメントとして表現してきたことを高く評価したい。「もののけ姫」はこれらの成果の一つにすぎないかもしれない。



NGO人道目的の地雷除去支援の会
事務局長 冨田洋 氏


[授賞理由]
「余人を持って代え難い」という言葉がある。ならば「余国を持って代え難い」という言葉もあって良いのではないか。この言葉はすなわち、日本でなければできない事を指す。冨田洋氏をはじめとする「人道目的の地雷除去支援の会」が開発した地雷探査装置はまさしく日本でなければできなかった発明ではないだろうか。自衛隊を有しながら平和憲法を守る日本で、つまり武器輸出はせず、しかしその武器を作り出すテクノロジーは所有している。またこの地雷探査装置が鉄筋コンクリート、あるいは老朽化した鉄筋を壁の上から見抜く装置として社会に貢献するであろう事は言うを待たない。 NGOの仕事が社会文化をデザインし、やがて経済発展につながっていく。その象徴となる出来事である。

会員賞

内田繁 氏(デザイナー)


[授賞理由]
内田繁氏のデザインは小建築・インテリア・家具をトータルにデザインするヨーロッパのアルキテクトの方法である。その現代的なデザインに滲みでた日本的なものが海外で注目されたが、氏はそれを伝統的な「方法の記憶」の再生とよぶ。1995年~97年、ミラノをはじめ北欧四ヶ国、ウィーンなど国内外で好評を博した三つの茶室「受庵・想庵・行庵」は現代の素材と感性による地上の小宇宙。西洋の人も靴をぬぎ、その空間へ誘いこまれた。茶室のデザインによって、日本にもあったトータルデザインの「方法の記憶」をよびさまし、ヨーロッパのアルキテクトの方法との共鳴をみせた。新鮮にして熱い視点のデザイン活動の展開、デザイン塾の企画など社会に対する貢献度も高い。1998年3月には、故・アルド・ロッシ氏とともに手がけた「門司港ホテル」がオープンした。