インターデザインフォーラム TOKYO 2024 VOL31
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インターデザインフォーラム TOKYO 2023 VOL27
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インターデザインフォーラム TOKYO 2023 VOL24
インターデザインフォーラム TOKYO 2022 VOL22
インターデザインフォーラム TOKYO 2022 VOL21
インターデザインフォーラム TOKYO 2022 VOL20
インターデザインフォーラム TOKYO 2021 VOL18
インターデザインフォーラム TOKYO 2020 VOL15
インターデザインフォーラム TOKYO 2020 VOL14
インターデザインフォーラム TOKYO 2020 VOL13
インターデザインフォーラム TOKYO 2019 VOL12
JIDF学生文化デザイン賞2019
インターデザインフォーラム TOKYO 2019 VOL11
インターデザインフォーラム TOKYO 2019 VOL10
インターデザインフォーラム TOKYO 2018 VOL9
JIDF学生文化デザイン賞2018
日本文化デザインフォーラム 2012 アートプロジェクト with 北本ビタミン
BS12TwellVでの番組『発想力学~トップクリエイターのアタマの中~』
里山のつどい・日本文化デザインフォーラム「自然学」プロジェクトin秦野
日本文化デザイン会議 2010 アートプロジェクト with 北本ビタミン
【パネル・ディスカッション】
五十嵐太郎/石津賢治※/河原敏文/坂下加代子※/千住明/日比野克彦/
藤浩志/マリ・クリスティーヌ/森司/森本千絵
【森のトーク】
鏡リュウジ/熊倉純子※/西尾美也※/八谷和彦
【森のライブ】
サエキけんぞう
【お茶のおもてなし】
佃一可
【おもしろ不動産コンバーター】
小泉雅生/宮本佳明
朝から雨模様だったため、日比野氏の判断により収穫祭が朝顔スケッチ会&講評会へと変更された。
集まった朝顔のホストファミリーたちとロータリーの朝顔をスケッチし、場所を室内に移して講評会を行い、今後の課題などを語った。
北本での今年のアートプロジェクトのテーマは、「北本、まちのコンバージョン~おもしろ不動産を発見せよ!」。街をめぐって見つけた、建物、道路、河原など魅力的な対象を不動産として捉え、各アーティストがリノベーションを行なって新たな活用法を提案した。最初に、森氏が出演者に北本の印象を尋ねたところ、「何もない街」というのが共通イメージのようだ。それならばリノベーションを行なうことで、「何もない北本のイメージを書き換えたかった」と森氏は話す。
次に各人が手掛けたリノベーションを紹介。宮本氏は、自然教育園のランドスケープに手を加え、「森のインテリア」を展開。現場にあった材料などを使って、ドアやイスをしつらえて家のリビングのようにくつろげる空間をつくり上げた。小泉氏は古びた納屋を、さまざまな活動の場として使える「ナヤノギャラリー」としてよみがえらせた。そして、坂下氏は「畑のカーペット」と題し、黒色をした異なる素材を畑に敷き詰め、視覚では区別しがたいが、足で踏んだときに質感の違いに気づかせる演出などを行なった。
そして、森氏は「一見すると何もない街でも、何かを読み取りさえすればさまざまな風景が生まれる」といい、気づくことの楽しさ、大切さをアピールした。また、「ナヤノギャラリー」の小泉氏は、「階段の位置を変えただけで空間がガラリと変わったように、1の力で10楽しめるのがリノベーションの魅力」と発言。さらに森氏は、「ひとつの建物がおもしろく変わると、その流れが街全体に波及していく。街中でアートプロジェクトを行う意味はそこにある」と述べた。
「森のライブ」はしとしとと雨が降る中、スタートした。
天候はいまいちではあったが、雨音とアコーディオン、そしてサエキ氏の歌声が絶妙に絡み合い“森の中”という異空間に相応しい、不思議な魅力で観客を楽しませてくれた。
このパートではJIDF会員と石津市長が、北本のまちづくりに関してダイレクトに意見を交換した。口火を切ったのは、去年も北本でのアートプロジェクトに参加した河原氏。会場だった雑木林に「手を入れることで、もとの里山より美しい自然になっていた」と感動し、打ち上げで石津市長が話していた〝駅前ロータリー広場雑木林化計画〟の進捗状況を尋ねた。すると前回会場の半分は開発で消滅し、ロータリー計画も反対運動を受けて現実的な案に変わったという報告が。これを受けて都市計画の専門家であるマリ氏が「雑木林が経済原理に合わない、というのは嘘」と述べ、フロリダのディズニーワールドを例に、間接的な波及効果を地域住民が理解することの大切さを訴えた。
次に北本市の魅力を問われた石津市長は「東京に通勤するのに便利な一方、自然や昔ながらのコミュニティも残っている」と語り、それをどう市外の人に伝えるかを模索中だという。マリ氏がトラスト運動による雑木林の保全や保育所の充実を提案すると、それらはすでに取り組み済みとのこと。そこで千住氏が「何でもアリだと他の都市と同じでプチ東京になってしまう」と、個性を打ち出す大切さに触れた。河原氏は「門外漢の僕らが好き放題に話すのは、一緒に北本を盛り上げたいから」とフォロー、「他人と違うこと、目立つことに価値観を置く」クリエイターやアーティストの宿命を石津市長に説明した。
さらに千住氏は「ビジュアルが人に与えるインパクトは、音楽よりも強い」と、日比野氏によるマクドナルドの看板デザインを提案。アートによるまちづくり継続のために「もう1期務めては?」と河原氏に勧められた石津市長が、「今年のプロジェクトには地元の若者が積極的に参加しており、可能性を感じている」と述べて締めくくった。
雨足が更に強まっていく中、一茶菴家元十四世である佃一可氏による「お茶のおもてなし」は行われた。
森のレストランの屋根下での実施となったが、席は希望者ですぐ満員に。直々に伝授されるお茶の淹れ方に、参加者は目から鱗だったようである。イベントの最後には、自分で淹れたお茶を飲み、その貴重な経験を振り返った。
パネルディスカッション2で伝えられた駅前ロータリー雑木林計画消滅を受けて、「北本はhopeless」と藤氏がヒートアップするところからスタート。森氏もこの日初めて聞いたという。日比野氏は10年後の北本駅前が本当にどうなるかはまだ分からないと楽観視し、「アーティストはロマン=夢を語るけど、市長はソロバン=経営をしなくては」と述べた。森本氏が手掛けた朝の連続テレビ小説の参加型オープニングに感銘した藤氏は、「駅前雑木林も同じ。市民の間に関係、ご縁が広がるアイテム」と重要性を言及。
次に「明後日ぐらいまでのことしか考えていない」という日比野氏が、午前中に北本駅前で行った〝明後日朝顔〟のワークショップに触れて、その場の思いつきを形にしていくプロセスを語った。出演者3人は揃って「その場力、現場力が強い」という森氏。藤氏は豊島の〝藤島八十郎〟を例に、地域活動に必要な架空のキーパーソンを作る手法を紹介。森氏からマッチフラッグプロジェクトについて尋ねられた日比野氏は、「集まる古着の色や、ワークショップへの姿勢に地域色が出る」と答え、自らが能動的に動いて他人と出会うことで、見逃していた地域の良さ、キャラに気付くことの重要さを指摘した。
森氏の「我々は変化を嫌う価値観を持ちすぎている?」という問いかけに「変わるきっかけを自分で作るのが面白い」と応じた森本氏は、「北本にいい男が増えたら、いい女も集まり、すべてはうまく回る」と、のびやかな発想を披露。藤氏は「自分を表現する=キャラクターを作ることにより、出会う人や周囲との関係が変わる。その延長にまちの変化があるのでは」と、市民ひとりひとりが持っている可能性について語った。
ポストペットの開発者である八谷氏は、自身の活動をもとに“まちと人”との関わりについて言及。まずは、「風の谷のナウシカ」に登場する架空の飛行機メーヴェを実際につくろうというプロジェクト「Open Sky」について。続いて、元ライブドアの社長の堀江貴文氏等と行なっているロケットエンジンの開発を紹介。どちらも都会ではなく十分なスペースがある田舎が活動の舞台となっており、ロケットエンジンの開発地である北海道の工場では、地元の人と協力して子ども向けのワークショップを展開しているという。
続いて、長期でアーティストが街に滞在して制作活動を行なう、滞在型のプロジェクトを紹介。ひとつは、フランスのアートパフォーマンス集団ロイヤル・ド・リュクス。そしてオランダ出身のアーティスト、テオ・ヤンセン氏の活動だ。「彼らの活動は高度なものだが、実はもっと単純なものでも人は感動する」とアートの力を強調し、モデレーターの熊倉氏とともに各地で少しずつマンネリ化しつつあるアートプロジェクトに対して、「もっと無謀な冒険を」とうながした。
アーティストの西尾氏は、古着のパッチワークでつながりと再生を考えるプロジェクト「Overall」を世界各地で展開している。今回のアートプロジェクトで披露した「人間の家」はその最終ステージとなる。「アフリカのナイロビで行なった『ナイロビ・アートプロジェクト』では、ストリートで現地の人と服を交換する『Self Select in Nairobi』と、古着をパッチワークして蒸気機関車をつくる『Self Select in Nairobi』を実施した」という。ワークショップでつくる作品のモチーフが、蒸気機関車をはじめその土地の巨大な喪失物である点もおもしろい。
服を使ったアプローチについて、「身にまとうという常識から外れることで、学び直しや他者とのコミュニケーションのきっかけをつくれたら」と西尾氏。「Overall」の第1ステージは、これまでにナイロビをはじめ国内外5カ所で展開されてきた。北本で行なわれた第2ステージでは、各地で制作した作品を解体して「人間の家」として再生。そして、第3ステージとなる今回は、「人間の家」を再び服につくり替えて誰かのワードロープに戻すというもの。こうした循環の過程でさまざまなコミュニケーションが生まれる様が、記録映像と共に紹介された。
10歳でタロットと出合い、幻想世界に興味を持ったという占星術研究家の鏡氏が、合理と非合理について語った。自分自身の中に合理と非合理が存在するという鏡氏。「占いの世界を信じる自分と、それを迷信だと理解している自分をつなぐ方法論として、心理学や宗教学を研究している」という。また、現在の占星術は、星の動きをパソコンソフトで読み解き、12星座別に運勢を割り出すシステマチックなものだが、かつては「天体の動きにはある程度のルールはあると考えられていたが、火星や金星は惑う星とされ完全にはその動きを予測できず、したがって人間の運命も流動的と考えられていた」という興味深いエピソードも。
また、昨今の占いブームについても触れ、「以前は、占星術や宗教が社会の中心だった時代もあったが、近代に入って霊的なものを排除する傾向に。今、占いで会社の人事といった社会的に重要な事柄を決定すれば、それは大問題になる。でも、合理と非合理のあいだを行ったり来たりして、スピリチュアルな世界と上手につきあうチャンネルを持ってもいいのでは」と、非合理なものを排除しがちな現代社会のあり方に占星術研究家として意見を述べた。